誰も興味がないと思っていました

「近くまで来たから顔を出さない?」というノリで実現した3回目の会談、プーチン大統領や習近平国家主席への歩み寄り、核廃棄、経済制裁等々、このところこの国の話題がメディアを賑わせていますが、知的財産に関する報道とは、一切お目にかかったことがありません。

私のエンジニア・知財マンとしての過去40年間の業務を振り返っても、ただの一度もこの国の特許を調べたことがありません。

こんな国の特許には誰も興味がないと思っていました。

East meets West 2019

EPO(欧州特許庁)では、East meets West と称して毎年東西の知財庁が集まって情報を交換しています。

https://www.epo.org/learning-events/events/conferences/2019/emw2019.html

下は今年度のセッションのひとつ。北朝鮮からのプレゼンテーションも行われたようです。

発表資料はここを参照してください。

少なくともEPOは北朝鮮にも興味を持っていたようです。だったらアジア特許情報研究会からも少々。

出願件数

この15年ほど、毎年1000件を超えて特許が出願されているようです。正直言って驚きました。

どんな特許? IPC付与個数

特許にIPCが付与されていなければ、どんな特許が出願されているのか傾向を知ることもできません。同国特許のIPC付与個数を調べてみました。

さすがストラスブール協定加盟国の北朝鮮。IPCが付与されていない案件は、グラフでは視認できない件数レベル。グラフ横軸は出願年、縦軸が各年の出願件数、棒グラフの色分けは各特許に付与されているIPCの個数を表しています。

左は、「A01B」のように、たとえサブクラスまでのコードであっても1個とカウントしたグラフ。右はサブグループまでの5パーツが完備したコードだけをカウントしたもの。

2005年頃までは、ほぼ全件が「未完備」のIPC。しかし2006年出願以降は、ほぼすべてがサブグループまで完備したIPC。ASEANのシンガポールやマレーシアでは大量のIPCなし案件がデータベースに収録されていますが、北朝鮮は非常に優秀なレベル。

どんな特許? IPCサブクラスランキング

2004年以降、G06Fが急増。他国と同様に、過去20年間A61Kも多数を占めています。

G06F 電気的デジタルデータ処理
A61K 医薬用,歯科用又は化粧用製剤
G01N 材料の化学的または物理的性質の決定による材料の調査または分析
G05B 制御系または調整系一般

どんな特許? WIPO既定の技術分野

WIPO既定の技術分野にコンコーダンスすると次のように。

2005年以前のバブルが非常に小さいのは、この時期の出願件数が少ないことと、付与されたIPCが5パーツ完備していないために、WIPO技術分野にコンコーダンスできていないことが主要因。

誰が出願? 過去20年の出願人ランキング

過去20年の件数が多い出願人を名寄せして、上位25出願人のランキングを表にまとめてみました。

上位3出願人が飛びぬけた件数です。国家機関や大学が上位を占めています。「※※連合企業所」とあるのが、民間(?)企業と思われます。

NK TECHが情報源

情報源はこのサイト。
http://www.nktech.net/nk_tech/invention/invention_l.jsp

このサイトの運営は北朝鮮ではなく、KISTI(韓国科学技術情報研究院)のようです。

ほとんどの人は興味もないでしょうし、近々に同国の特許調査が必要になるとも思えませんが、「新興国小ネタ」のご紹介でした。

アジア特許情報研究会 中西 昌弘